ALPINE BEER
アルパイン ビア
趣味の自家醸造家から自ら出資してブルワリーオーナーに。
日本に輸出しておらずなかなか飲むことができない。それがアルパイン ビアの幻のクラフトビールたちです。サンディエゴの中心から車を走らせること約30分。山の麓まで来ちゃったぞ、というこの場所こそに、アルパインの小さなブルワリー & パブは、民家のように佇んでいます。
西部劇に登場しそうな木製のドアを引き入ると、まだ日も高いうちからパブの中は大にぎわい。みな、ビールと一緒にランチを楽しんでいます。
アルパインのロゴマークには山の峰が描かれていますが、これはここアルパインの山々を表し、名前もそのままアルパイン。やってくるのも飲めるのも、ほとんど近郊の人々。地元愛に溢れたブルワリーです。
アルパインのブルー マスターはパトリック・マックルヘニー(Pat Mcilhenney)。元々は消防士で、1983年から趣味で自家醸造をしていましたが、大会で受賞を重ねながらホームブルーイング用品店で働くうちに、今度は自家醸造を教える側に。そしてビール醸造所でボランティアとして貢献し、その醸造所の設備の使えることになりました。
1999年、パトリックは、AleSmith Brewing Co.の「McIlhenney’s Irish Red」を委託醸造する契約をとりつけ、その後自身のマンダリン ネクター 「Mandarin Nectar」、ピュア ホピネス「Pure Hoppiness」を次々と発表。このピュア ホピネスは大量のホップを使って作る伝説的なダブルIPAで、ホップは太平洋岸とドイツ・ハラタウ地方のもの、麦芽は上質なイギリス産とカナダ産の2種を使用。飲み口から最後まで強烈なホップが滲み出すインパクトで熱狂的なファンを呼びました。
また、アルパインといえばネルソンIPA「Nelson IPA」。ニュージーランド産のネルソン ソーヴィンを使いドライホップしたビールですが、ヨーロッパの金ライ麦の麦芽のなめらかさとともにコクも併せ持つ、このブルワリーの主力選手です。
2001年にはアルパイン・ビアの醸造所を地元であるアルパインの町の真ん中にオープン。2009年には現在の場所に移設、そしてみなが集まるこのパブが、2010年に増設されたのです。
強力なアロマ、ライ麦のフレーバー、苦味のバランスが最高の「ネルソンIPA」を片手にバックヤードで空席待ちです。バックヤードもホームメイドな感じで居心地の良いこと。思わず時間を忘れてしまいます。
店内に移動した後、隣の醸造所でパトリックさんにお勧めされていた「Keene Idea」注文し、「ハンバーガーが食べたい」と頼むと、カウンターのお姉さんがすかさず「ハンバーガーじゃなく、スライダーと言って頂戴!」と一言。小さなハンバーガーが三つならんでとっても可愛い!小さいバンズの間に豚のバーベキューがはさまっているだけなのですが、甘すぎないお肉はホロホロで凄く美味、小さな見た目とは裏腹に、お腹いっぱいになっちゃいます。
「今日は仕事が休みなんだ」と話してくれた隣のお兄さん。休日にいつも通り「幻のクラフトビール」を流し込むと長居はせず、「いい旅を」と手を振り店を出てゆきました。
*2014年11月時点での記事です。